日によっては喉の調子が悪いときがあります。しかも大事な発表の時に限って調子が悪くなるものです。しかし意外とお客さんにはその「調子の悪さ」は気付かれないものなのです。気にしているのは自分だけで、終わった後、調子悪くてごめん!って言っても「え?
そうだったの?」と言われることが経験上多いです。
だったら初めからそんなこと気にしないで思いきりやった方がいいですね。発表中に調子の悪さを気にしたらその時間がもったいない!
私も在団中はビタミンCのドリンクをがぶ飲みしたり、馬刺しを食べたり、マスクしながら寝たり、かなり神経質になっていました。しかしやりだすとキリがないです。どんどんドツボにはまってしまいます。
どんな日もあります。だから朝起きて調子が悪ければもう諦めるしかないのです。それも全て受け入れつつ、以外とお客さんには気付かれないものだと割りきってしまえば精神的にはかなり楽になれます!
喉の調子が良かろうと悪かろうと自分のできる最高のパフォーマンスをしてください!
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息の調節
呼吸の練習をするとき歯をツーと鳴らしながら息を吐く方法もあります。しかし私は歯を開いたままやるように言います。なぜなら息の流れを歯でせき止めてはいけないからです。
小学生の時、トイレ掃除でホースの先っちょをつまんで水のかけあいをしましたよね。勢いよくピューと飛んでいきます。
息の流れはそうなってはいけないのです。水の勢いは先っちょで調節するのではなく、蛇口で調節してください。人間の体に言い換えると、息の流れは口先で調節するのではなく、あくまでお腹でコントロールしてみてください!
重心2
まっすぐ立ちましょう。といっても歌っているうちに無意識に左右どちらかに重心が片寄ってしまう人がいます。そうなってしまうと床からもらう力が半減してしまいます。
ちなみに口の形も左右どちらかがつり上がってしまう人もいます。そうなると、響きが分散してしまいます。
ついでにいうと、肩も左右非対称になることがあります。これらはいずれも自分で意識しないうちに勝手になっているのです。
いつも鏡で体全体が片寄っていないか確認しましょう!
声の距離感3
自分の顔の近くで声が響いている人は、自分の声がよく聞こえるので、安心して歌えます。ただ思いが相手に伝わりにくいです。
一方、自分の体から声が離れて発声できる人は、音程が合っているか常に不安ですが、思いは伝わりやすいです。
みなさんはどちらを選びますか?
身振り手振り
一曲を歌うのにボーっとつったったまま歌うわけにはいきません。所々で身振り手振りが必要です。しかしいざ動かしてみるとこれがなかなか難しい!
ここで必殺技をお伝えしましょう。
歌詞の全てに動きをつけるとやかましくてしょうがないです。ここぞというときだけ手を動かしてやりましょう。
例えば「♪あなた」 と言う前にあなたに向かって手を出すのです。「言う前に」というのがポイントです。言いながら出しているようでは遅いのです。なぜなら、歌詞より先に手が出るということは、きちんと頭に命令が送られた上で「♪あなた」が発声できているからです。この仕草が歌詞と同時あるいは遅れるようだと、頭に命令が行かないうちにその言葉を発していることになります。結果その言葉をが伝わらない。
「♪あなたが」にしても「♪わたしが」にしても、歌詞より先に手をだしてあげましょう!
重心
先日、ある女性が赤ちゃんを抱っこしながらボイストレーニングを受けてくれました。彼女一人で発声するより、赤ちゃんを胸に抱っこしていた方が驚くほどよく声が出ていました。重心が下にあればあるほど声が出ることを証明してくれたのです。
ふだん赤ちゃんを抱っこしながら声を出す状況というのはなかなかないのですが、子育てを終えた方は自分の足に根っこがどこまでも生えていると思って、重心を下に下に感じてあげましょう!
赤ちゃんのいるお母さんは今がチャンスです。
子育てに発声に頑張ってください!
タオル呼吸法
腰の回りにタオルを巻いてギュっとひねってください。すると腹筋、背筋だけでなく側筋もしめつけられます。この締め付けに負けないように息を吸ってはじきかえしましょう!
昔このようにおそわりました。おへその回りに浮き輪がついていると思って、その浮き輪を全方向、外に広がるように息を吸いなさい。
なかなか手元に浮き輪を用意するのが難しいので、タオルで実践してみてください!
声の距離感2
前回は特に歌い出しでは1m先から声が出るとよいと言いました。しかし歌い出しだけに限らず、歌一曲を通していたるところで距離感を表現してあげるともっとよいですね!
例えば対象物や者が近くにいるのか遠くにいるのか、あるいは複数なのか。また、気持ちを人に伝えるのか自分自身に言い聞かせるのか。景色にしても全体のことを指しているのかピンポイントなのか。
それぞれに距離感が存在するはずなので、そういったことも気にしながら歌の練習に取り組んでみてください!
声の距離感
歌をうたうとき、最初の第一声は力んでしまいがちです。リラックスも必要ですが、距離感を大事にしてあげましょう。
自分より1メートルくらい先に口があると思って、そこから声が出るような感覚をつかめるとよいです。手のひらを前に差し出し、その手のひらに載せるように最初の文字を言ってみてください。
歌い出しではしっかり準備をしないと、力んでしまい、いきなり感が出てしまいます。いきなり感をなくすためには、距離感を大事にしてあげましょう。そうすればスムーズなスタートがきれること間違いなし!
体のストレッチ
声帯は楽器でいうと木管楽器の口をつける部分のリード(銅板みたいなもの)のようなものです。息がリードを震わせて音になります。人間の声帯も正にそうです。左右2本の帯の中に息が通ることによって振動が声になります。
そしてこの声帯というのは非常にデリケートなのです。特に地声では帯が閉じた状態なので、思わず強い息を吹きかけてしまうと、摩擦で負担がかかってしまいます。体がほぐれていない状態だと力んだ強い息になってしまい、喉がガラガラする原因になります。
そこでやはり「体のストレッチ」が必要です。よく体をほぐしてから、前回の声帯のストレッチ、そして発声練習につなげていきましょう!
声帯のストレッチ3
リップロール、巻き舌につづき今回は「サイレン」をご紹介したいと思います!
救急車のウーウーというサイレンを想像してみてください。それを口を閉じた状態で再現してみましょう。ウーンウーンウーンと細く長い息をぐるぐる回してください。
それに手をつけます。指を立てておへそから胸にかけて内回りに回転させます。外回りだとダメです。
最初は低い音だけで、次は高い音で、慣れてくれば低い音から指をぐるぐる回しながらどんどん高い音に登っていき、極限の高音まで達したら、そのまま伸ばし、最後にはまた低い音に戻ってきてください。お腹に程よく力が入っている感覚も忘れないでくださいね!
声帯のストレッチ2
今回は巻き舌をご紹介しましょう。
舌をトゥルルルーって、子どもの時よくやりましたよね! あれがストレッチに良いと言われています。
これも絶妙な息の吹きかけ加減がないとうまく続きません。強すぎても弱すぎても途中で切れてしまいます。
前回のリップロールにしても今回の巻き時にしても、初めからできる人もいれば、いつまでもできない人もいます。しかし、できるにこしたことはありません。なぜなら唇も舌もいつも柔らかい状態にしていたいからです。できない人はできるようになって欲しいです。
簡単なやり方として、お風呂で顔をつけたままトゥルルルーってやってみて下さい。最新はできなくてもそのうちできるようになるはずです。
子どもに戻って遊びながらやってみましょう!
声帯のストレッチ1
歌をうたう前には発声練習が必要です。でもその発声練習の前にも「声帯のストレッチ」が必要なんです。
今日はその1つをご紹介したいと思います!
「リップロール」をご存知でしょうか?
息を出して唇を細かく震わせるやつです。
ドナルドダックみたいにブルブルブルと言ってみてください。これが意外と難しいのですが、練習すれば誰でもできるようになります。
息が強すぎてもうまく震えない、弱すぎても途中で止まってしまうように、長く切れずに続かせるには絶妙な息の吹きかけ加減が必要なのです。
この絶妙な息の量が体感として分かってくると、あとの発声練習もスムーズにいくと思いますので、ぜひ遊びながらやってみてください。
丹田(たんでん)
「丹田(たんでん)」
丹田とはおへそよりこぶし一個分くらい下にあるつぼのようなもので、体の中心を探るという意味ではこの丹田を意識するとよいでしょう。
しかし、かつてのバレエの先生がおっしゃるには、丹田とは目に見える明確な場所があるわけではなく、あくまで意識の置き所である。だからその日の体調によって、おへそより高い場所に感じるときもあるし低い場所に感じるときもある。おへそよりずっと下に感じることができればその日は調子がよいことの証である。
この丹田に意識を集めることができれば、ピンとした姿勢でも深い呼吸がくりだせるかもしれませんね!
立ち方
前回は格好よく舞台映えのする姿勢だと、うまく腹式呼吸ができなかったり呼吸が浅くなるという話をしました。
しかし、そもそも正しい姿勢を作ること自体かなり訓練が必要です。
女性は「でっちり、はとむね」になりやすいと言われています。つまりお尻が後ろに突き出て、胸が前に反っている姿勢です。横から見たときになるべくお尻→背筋→肩甲骨→首がフラットになるように心がけてください。
男性はとにかく猫背になりやすいそうです。ですのであごが前に出ず、首の上に頭蓋骨がきちんと乗っていることをいつも意識しましょう。
寝た状態のフラットな感覚を覚えつつ、崩れそうな時は壁に寄りかかるのもよいでしょう。
背筋3
四つん這いや土下座で背筋の感覚を掴めたとしても、いざ立ってみると息を吸った時には背筋を感じにくくなるものです。背すじをピンと張って舞台映えしそうな格好いい姿勢ならなおさらです。床に手をついていた時ほど背筋を感じられず、呼吸も浅くなりがちです。
ではどうしたらよいか? 床から力をもらいましょう。唯一床に接しているのは両足です。肩幅に両足を開いてください。膝を突っ張らせないで軽く曲げた体勢で、親指に力を入れて、少し前傾してみましょう。
声を出しながら背筋の感覚を失いそうな時は、また四つん這いや土下座に戻ってみてくださいね!
背筋2
前回、声を安定させるには背筋が必要だと言いました。四つん這いになっても背筋を感じにくい人は、そのままお尻をかかとにつけて、「土下座」のポーズをとってみましょう。手は床につけたままです。そしてそのまま息を深く吸い込んでください。すると背筋がボコっと膨らむはずです。
普通、腹式呼吸だとお腹ばっかり膨らむものです。しかしこのポーズではお腹が圧迫されている状態なので、その分、後ろに追いやられて背中が膨らむのです。
この「土下座」のポーズのまま、息を吸って膨らんだ背筋に力を込めながら「すみません!」と声を出してみてください(笑)
「背筋」
私は声を出すうえでの「腹筋」と「背筋」の違いをこのように定義しています。
「腹筋」は息をもらさないように我慢する力。
「背筋」は声が安定するよう支える力。
重い荷物をしゃがんで持ち上げる時、背筋にグッと力が入りますよね。この力が声を出すときにも必要なのです。
人間はもともと四つ足動物でした。遠く離れている相手に声を届けるためには背筋を使って声を発していたようです。それが進化に伴い、二足歩行できるようになってからは、近くで対面して話せるようになったので、背筋など使わなくてもすむようになったのです。
さあ、みなさんも動物であったことを思い出して(無理!)四つん這いになって発声してみましょう!
「ハミング」
よく料理をつくりながらやっているあれですよね? 気分のよいときに歌うあれです。
実は声を出すうえで、このハミングがとても重要なのです。音痴もほとんどハミングで治ると言われているくらいです。
しかし何気なくやっているハミングでは歌は上達しません。響きが小さいからです。
前回説明した「鼻腔」を広げたうえでのハミングでないと意味がないのです。
目と目の間に人差し指をあてて、「ンー」と言いながらその場所が震えているかたしかめてください。実際、声は口からでるものですが、これからはこのハミングの場所から声が抜け出るのだと、自分を騙しながらやっていきましょう。くれぐれも鼻腔を広げることもセットでお願いします!
鼻腔(びくう)
声を豊かに響かせるために鼻腔を広げてやりましょう。鼻腔とは鼻の奥の空間のことで、ミントの飴をなめたときにスーっとする場所です。
バイオリンを想像してください。中が空洞になっていますよね。楽器が大きくなるにつれ響きも豊かになります。それと同じことを鼻の奥で再現しましょう。
まずは「かっこつけの眼」をするように眼の奥をクッと開いてみてください。
次に前歯が全部見えるくらいキラキラの笑顔にしましょう。これは口角(こうかく)を上げるという作業です。
ついでに、耳も後ろに引っ張ってください。
なんなら、あごも開いてあげてください。(注)カクっとなる一歩手前まで!
このように顔中のあらゆるところを開いてやることが、鼻腔を広げることにつながってきます。おかしな顔にならない程度にチャレンジしてみましょう!
「イエアオウ」の順番
前回は喉の奥を広い状態に保つため、舌の付け根を下げ続けるという観点から「アエイオウ」という順番が理にかなっていると言いました。
今回は、声の響という観点から「イエアオウ」の練習方法を紹介したいと思います。
真ん中に位置する「ア」は一番基本となる母音です。つまり、響の明るさだったり声の深さだったり一番バランスの良い口の形なのです。
一方、「イ、エ」は声が出やすいのですが明るくなりすぎて何かに押しつぶされたような平べったい響きになりがちです。逆に
「オ、ウ」は深い発声ができますが、声が前に出にくく体の中にこもりやすいのです。つまり「イ、エ」と「オ、ウ」ではお互い良いところもあるし悪いところもあるのです。
そこで練習方法としては「イエアオウ」の順番に響きが変わらず均等になるようにしてみてください。具体的にどうするかと言うと、あくまでイメージですが「イ、エ」では乱暴にならずに体の奥深いところをイメージして慎重に発声しましょう。逆に「オ、ウ」では、
乱暴になっても良いので積極的に声を前に飛ばしましょう。あくまでも真ん中に位置する「ア」の響きが一番良い響きなので、「ア」を基準にして5つの母音を綺麗に揃えてみてください。
「アイウエオ」の順番
前回は「イ」とか「エ」とか舌を下げるのは難しいとした上で「アイウエオ」全ての母音を舌の付け根を下げて発声することが大事と言いました。
今回は具体的な練習方法を紹介したいと思います。
「♪アーイーウーエーオー」の順番だとなかなか練習しづらいです。なぜかと言うと、その順番だと下の付け根の位置が上がったり下がったり忙しいからです。
そこで「♪アーエーイーオーウー」の順番にしてあげましょう。付け根が下がりやすい母音「ア」で下がっている感覚を掴んでおいた上で、付け根が上がりやすい「エ」と「イ」を続け、もともと下がってくれる「オ」と「ウ」でフィニッシュ❗️。
これをまずは5つの母音を同じ音でやってみましょう。慣れてくればドレミレドみたいに音の上下をつけてもいいかと思います。
舌の位置
前回、前々回では「喉の開き」について説明しました。慣れてくれば、わざわざ「オェっ」とやらなくても、自分の意思で舌の付け根を下にさげて、軟口蓋を上げることができるようになります。
今日は実際に声にしてみましょう。まずは、
舌の付け根が下にさがっているのを確認したうえで、「アーオー」と発音してみましょう。
喉の奥が広い状態で発音できますね!
では次に「イーエー」と発音してみましょう。
あれ? 舌の付け根が下がりませんね。そうです。「イ」と「エ」で舌の付け根をさげるのは至難の業なのです。これは日本語の母音の発音上仕方のないことなのです。だからといって諦めてはいけません。なるべく舌の付け根が浮いてこないように訓練しなければならないのです。
最初はアントニオ猪木みたいな声になってもいいので、舌の付け根がなるべく浮いてこないように「ア」「イ」「ウ」「エ」「オ」の5つの母音を練習してみてください!
喉の開き方2
昨日は喉の開き方として「かじかんだ手を暖めてみよう」を紹介しました。その方法では主に喉の奥の下半分が開きます。今日は喉の奥の上半分を開く方法をお伝えします。
「軟口蓋(なんこうがい)」を知っていますか?
舌を喉の奥の方で上に突き上げると、柔らかい部分があります。そこが軟口蓋です。声を出すときは軟口蓋を上に広げてやってください。
そうすると、喉の奥の上半分も開いてきます。
ではどうすれば軟口蓋を上に広げられるか?
気持ち悪いですが、「オェっ」とえずいてみてください(笑) 舌の付け根が下にさがり、軟口蓋が上に開きます。そして「オェっ」となりながら軟口蓋に息を吹き付けるイメージで声をそぉーっと出してみましょう。
「喉の開き1」で説明した「暖かい息」と今日の「オェっ」の合わせ技で、喉の奥を上も下も両方開いてみてくださいね!
喉の開き方1
声を出すときは喉を開くことが必要です。
一般的には「あくびの喉」になることで喉仏が下にさがり、喉の奥が開いてきます。
しかし、実際にあくびをしようとしてもなかなかできないものです。そこで喉を開くためのわかりやすい方法があります。
それは「寒い時にかじかんだ手を暖めてみよう」です。暖めようとしているわけだから実際にその時にはきだされる息は暖かいですね。じゃあその時の喉の奥を感じてみてください。きっと開いていると思います!
逆に誕生日にロウソクを消すのを想像して一本指に息をふきかけてみてください。その時の息は冷たいはずです。じゃあ喉の奥はどうなっているか? 閉まっていますよね!
このように暖かい息をはけているかどうかが、喉が開いているかどうかの1つの目安になりますので、是非試してみてください。
息継ぎと感情の変化
「息継ぎと感情の変化」
できるなら長いフレーズを一息で歌いきりたいところでですが、そうもいかないことが多いです。そういう時はカンニングブレスをしましょう。今回はそれとは別に、大きな感情の変化をさせる時にいかにブレスが重要であるかを説明したいと思います。
「呼吸と発想は一致する」と昔習いましたが、大きな感情の変化が必要な時に、呼吸が浅いと表現も中途半端になってしまいます。
いかに素早くたくさん息を取りいれるかというコツを前回お伝えしましたが、このような場面でも必要になってきます。やはり、呼吸と表現は切っても切り離せない関係なのです。
例えば、呼吸を伴わないで辛い気持ちから明るく前向きな気持ちに変化させるのはとても難しいです。しかしその変化の際に呼吸が上手くいくと、気持ちも劇的に変化するのです。感情の劇的な変化を呼吸に助けてもらえるようになると素晴らしいですね。
そのためには、普段の練習の時からここぞと言う息継ぎの場所を決めておいてください。そしてその箇所に来たら、一気に次のフレーズの景色なり時間なり人間関係なり歴史的背景なりを発想するっていう練習をしてみてください。
みなさん「気持ち」や「表現」のことばかり気にしていて呼吸を忘れがちです。しかし「呼吸」が一番大事なのです。初めのうちは「気持ち」や「表現」は横に置いておいて、ここで必ず大きな息継ぎをするぞって思いながら歌うので充分です。この呼吸が上手くいけば「気持ち」や「表現」も勝手についてくるものだと割り切っても良いのかもしれませんね。
瞬時に息をすう
呼吸を練習するにあたっては、実に様々な過程を経なければなりません。しかしゴールについては「いかに瞬時にたくさんの息を取り入れられるか」に集約されると思います。それを行えるようになるために日々訓練しなければならないのです。
実際にカラオケで歌う時にも、「変なところで息継ぎをしてしまったなあ」「あともう少し息を吸えていたら、もっと伸ばせたのに」
など、歌いながら後悔してしまうことが多いですね。特に高音が続く箇所では苦しくてまともに息を吸えないことが多いです。
今回は苦しくても瞬時に息をたくさん吸えるポイントの一つをお伝えしたいと思います。
まず息をたくさん吸うためには吐ききることが大事です。理科の実験で使うスポイトを想像してみてください。指でギューっとつまんだ分だけ液体が入ってきますよね。つまみが中途半端だと液体もあまり入りません。それと同じで、息を吐ききる時には凄まじく腹筋が縮んでいます。まるで雑巾をしぼりきるような感覚です。そのように負荷のかかっている腹筋を、息を吸うときに一気に力を抜いて緩めてやりましょう。そうすると一気に息が体の中に入ってきます。まるで絞り切った雑巾から手を離すと一気に元通りの形になるように。
この一連の動作を確認しているうちに「ストン」をお腹に息が落ちる感覚ができてくるとしめたものですよ。
ぜひ試してみてください。
息はどこに入るの?
腹式呼吸と言うくらいだから、息はお腹に入ると思っている人がほとんどです。
しかし、息はお腹にには入りません。息は肺にしか入らないのです。
腹式呼吸を理解するためには、横隔膜のことを考える必要があります。普通、横隔膜(昔の五右衛門風呂ではそのまま浸かると足が火傷をしますので、木のふたに足を乗せて徐々に沈んでいきました。その木のふたをイメージしてください)は肋骨の下にへばりついているものですが、腹式呼吸で息を吸うと横隔膜が下に下がります。逆を言うと、胸式呼吸では横隔膜が下がらず、肋骨の下にへばりついたままなのです。その結果どうなるかと言うと、肺の膨らみが肋骨の中だけにとどまってしまいます。つまり息を取り込む量が限られてしまいます。
一方、腹式呼吸で横隔膜を下に下げてやると、肺は肋骨を通り抜けて下の方まで膨らみます。結果たくさんの息の量を確保することができるのです。
そういうわけで、歌を歌う際には、胸式呼吸よりも腹式呼吸の方がふさわしいのです。
息の吸い方
息を吸う際、鼻で吸った方がいい?それとも口で?と迷う方が多いです。
鼻と口では一長一短があります。鼻で吸う場合は深く吸い込めるけど、時間がかかる。口で吸う場合は、素早く吸えるけど浅い呼吸になってしまう。
鼻で吸うのが日常的になっている方は、準備する時間のある歌い出しの時は大丈夫ですが、曲の途中の忙しい時には息継ぎがとてもまにあわないですね。
ですので、歌をうたう時には口で吸うことを心掛けましょう。かといって鼻をつまんで口だけで吸うわけではなく、あくまでも鼻通りの良い状態で口をメインに吸ってください。
でも、いくら鼻通りの良い口呼吸だとどうしても浅い呼吸になってしまうので、鼻だけで吸っている時と同じくらいの深い呼吸を口で行えるように日々トレーニングすることが大事ですね。
自主練習をする時には、まずは鼻だけで深く吸い込んでみて、お腹にいっぱい溜まる感覚を憶えつつ、その後、鼻通りの良い口がメインの呼吸に変えていきましょう。
お腹の使いかた
声を出す時、お腹はへっこむの?膨らんだまま?という質問を受けます。
正しくは両方です。つまりお腹を膨らませたまま、へこませてくるのです。
もう少し具体的に言うと、せっかく腹式呼吸で膨らんだお腹なのに、すぐにへこませて
しまうと、息が全部抜けてしまい弱々しい声になってしまいます。
逆に、お腹を膨らませ続けた状態で息が無くなった時、次に吸うことができません。あくまでもお腹がへこむから次に吸うことができるのです。
ですので発声練習の際は、膨らんだ状態(腹式呼吸でお腹が膨らませられることが前提)
から一気にへこますのではなく、膨らんだ状態を我慢しながら、息が漏れないように大事に大事に吐いていくことが大事です。そして最終的にはお腹がぺったんこになるまで吐ききりましょう。
よく学校の先生が「大きな声を出すために腹筋使っって❗️」と言いますが、それは
間違いではありませんが正しくもありません。あくまで声を出すための腹筋とは、
息を漏れすぎないようにする力、つまり膨らんだお腹を我慢する力なのです。
かといって膨らんだ状態のままでは息継ぎができません。だから我慢しながらも上手に自分の意志でへこませてやる必要があるのです。
歌が上手でもなんとなくいきづまっている方は、この原点にたち戻ってはいかがでしょうか?
腹式呼吸について
日常生活(人と話している時、運動している時、食事している時など)で行っている呼吸は胸式呼吸です。一方、睡眠中の呼吸は腹式呼吸です。
「腹式呼吸」というと、なんだか難しい言葉に聞こえますが、実は誰でもできるのです。
ただ、寝ている時は無意識に行っている腹式呼吸を、いざ起きている時間に意識的に行うことは結構難しいです。
ですので、まずは寝っ転がりましょう。おへそのあたりに手を置いて、綺麗なお花を想像して「いい匂いだなあ」と思いながら、鼻の奥から息を深く吸い込んでみましょう。
そうすると、息がすうーっとお腹に落ちていく感覚が味わえるはずです。胸は膨らまないで、お腹が膨らんで来るのが一つの目安になります。
ぜひ試してみてください。
オンラインボイストレーニング始めました。
スタジオに機材を揃え、いよいよオンラインレッスン(ボイストレーニング)開始です。
歌はただ歌って楽しいだけではなく、やはり正しい発声、正しい体使いが必要です。
オンラインレッスンではみなさんとの会話を楽しみながら、具体的な上達法をお伝えできればと思います。
さあ、新しい世界の扉を開きましょう!